「魚」+「古墳」+「好き」=「キナッコ」=「好き」
作家さんに会いに行ってきたよ、第4回はみんなだいすき「キナッコ」さんです。私の中の最初の印象は「魚の人」、しばらくして「古墳の人」が追加されました。つまり今は「魚と古墳の人」。メインの素材はプラバンで、最近はオリジナルイラストを使った印刷アイテム(Tシャツとかクリアファイルとか)も登場したので見ごたえたっぷりのブース展開になっています。
「魚」好きの始まりは、8歳の時。「マリンワールド海の中道」に連れて行ってもらったのがきっかけでした。教えてもらって知ったんですが、現在の建物は扇のような半円状のかたちをしていますよね。平成元年に開業した当初は、建物が半分!90度くらいの規模だったそう。それでも博多湾の目の前に広がる大きなショープールでのイルカのショー、最新鋭の映像解説機器を備えた魚類の展示と、きっと水族館を訪れたみんなが感じるあの「わくわく」を幼い「キナッコ」さんはもっと鮮烈に感じたんでしょう。
マリンワールド半分のころ@まちとともにお父さんも「アクアリウム」が好きで、中学生のころ「ブラックアロワナ」を飼い始めました。建築事務所の大きな水槽を悠々と泳ぐ「ブラックアロワナ」に、エサをあげる係だった「キナッコ」さん。ハンドメイド作家への道を歩き始めるきっかけとなったのも「アロワナ」でした。
「古墳」好きの始まりは、9歳の時。春日市に住んでいた絵を描くことが大好きな小学3年生の「キナッコ」さんは、とびうめ国体(第45回国民体育大会)のポスターを描きました。そのお礼に「春日市遺跡マップ」の下敷きを手に入れます。そこには春日市のキャラクターが(おそらく現春日市公式キャラクターのかすがくんとあすかちゃん)、弥生時代の遺跡や出土品が多く「弥生銀座」といわれる春日市の遺跡を紹介していました。自分の住んでいるところはこんなところなんだ!、と興味を持った「キナッコ」さん。あとはもう…わかるな?
好きの始まりと理由をはきはきと説明できる「キナッコ」さん。カッコよ。
そんな魚少女と古墳少女を経て、ハコイチ初出展は2018年9月でした。ハコイチとご縁のある消しゴムハンコ作家の「picol」さんに聞いて、出展した初めてのハコイチ。作家がブースに居ない、歩きわまってる、と自由過ぎることに驚くも、自分と作品が受け入れられたと感じたそう。
出たいと思っていたハコイチ、出展して見てどお?と聞いたら「作ってる人も来る人も手づくりが好きな人が来るイベント」。「学校とか部活に行く感じ。いつものみんなが居るな~」だって。なんか嬉しいね。私もハコイチってどんな雰囲気ですか?って聞かれたらおばあちゃんちにいるみたいな感じとか、同窓会みたいな感じって言ってます。実際におばあちゃんちなんですが。
こぼれ話。建築デザイン系の人でもある「キナッコ」さんは、ハコ町屋の床板が「縁甲板」っていうめっちゃいい木だってことを教えてくれました。「縁甲板」は縁側、つまり外廊下の甲板として使われたのが語源だそう。ちなみに二階の縁側を通ると新しい会場「町屋別館」に行けますよ。「いろんな家を見てきたけどハコイチの建物は間取り面白いです」ってことなので次回はぜひ建物にも注目ください。
さて、魚と古墳と絵を描くことが好きな「キナッコ」さんは中学生になり、「パースを書く人」=「建築パース画家」になりたいという夢を持ち美術部に入ります。週一デッサンの日、があったけれとあとは好きなことをしていてよかったんだって。七宝焼きやろくろ回したり、シルクスクリーンも。いいなあ、楽しそうだなあ。ある日、イラストを描いていた「キナッコ」さん。何かが足りないなあと思って先生にアドバイスを求めます。そうすると「光の色が見えてない」「光の色を見なさい」と言われ、金色の髪の毛に緑を入れました。その時に得た気づきが、今の絵に生きています。「キナッコ」さんの描く作品が生き生きとして見えるのはこの光の色が表現されているからなんだ。
高校はインテリアデザイン科。書道部に入り書で絵を描く日々。人に恵まれ、楽しい日々を過ごします。が、時代が変わっていきます。デジタル化の波が押し寄せ、アナログからデジタルへの過渡期へと入ります。手書きからCADへ、建築の世界も変化していきます。「建築パース画家」はこの10年でなくなっちゃう仕事にランクイン…。大学も建築デザインへ。「命より図面を大事にしろ!」な厳しい先生のもと、書いて書いて書きまくり。腕を磨いたものの、就職氷河期世代です。結婚という名の永久就職をし、4年子育てをしてから仕事を始めます。仕事→育児→仕事→育児の繰り返しに追い詰められていたところに、本屋で出会っちゃったプラバンの本。私ならもっとうまく描ける(ハズ)のでは?
そんな時にパパさんからのオーダーが。「アロワナのブローチ作ってよ」
出来上がったアロワナブローチをツイッターに載せたら、身内バズり。友達からの反応がたくさん。「待ってたよ!」そうするうちにツイッターを通じて連絡があり、東京のお店(アクアリウム展)に委託することになります。ここがハンドメイド作家「キナッコ」さんのスタート地点。
作家になるときの目標は「デパート出店」「博物館出店」「水族館出店」。
作家活動を始めておおよそ3年で、あれよあれよという間にご縁ですべて出店がかないました。きっと「キナッコ」さんが「魚」と「古墳」が好きで、好きだ!と思って作品を作っているから、好きな人の目に留まったんでしょう。魂の入り具合が透けてみえるから、好きだから良し!と思って作ったものの方が売れるんだって。一般受けを狙うと売れないんだって…。そういえば売り上げも人の多い少ないにかかわらずあまり変わらないって言ってたなあ…。人が人を連れてくるんだって。
色鉛筆とコピックと、プラバン。作家「キナッコ」の武器です。
現在は最初の目標を達成したので「じゃあ遠征行くか」のターンです。作家の方を本業としたいので、知名度を上げることを目的に、2022年は大きなイベントの予定がたくさん。でも、ハコイチには出たいって。出ないときつくなる。足りなくなる。みんなに会いたい。いやしとして必要。ホーム…。と愛を語ってくれました。毎月開催しているから出るタイミングを自分で決めやすいのもいいんだって。2020年にハコイチがお休みしていた時は末期症状としてあつ森でハコイチを作ってくれていたっけ…。好きと好きが合致するのがみんなの幸せ。ハコイチを必要としている方のため、ツキイチハコイチもちろん継続しますよ。
突然だけど「うみハマ」って知ってるかな~?海洋生物好きの作家・アーティストのコミュニティで「キナッコ」さんも所属しているよ。素晴らしいクリエイターさんばかりで、リーダーの行動力がすごいので、とりあえずフォローしとこうか。
深い海にハマるうみハマ公式ライン
最後に、おすすめの本を聞いたよ!「深海生物大辞典」と「九州装飾古墳のすべて」
会いに行ってきたよ、と言いつつ正確には会いに来てくれたのですが、ハコイチの外で作家さんに会うの楽しいです。少しだけ作家さんの人生をのぞき見させてもらって、好きが大きくなりますね。あとみんなハコイチ好きって言ってくれて…好き(好き)…。さ、次はだれに会いに行こうかな?
Pick Up この記事で紹介した作家
キナッコ
「連れて歩けるお魚」 「身に着ける遺跡」 をコンセプトに、大好きな水棲生物と古墳や埴輪など古代の物を絵に描いて作品を制作しています。 トースターで焼いて縮めるプラバンというプラスチック製の板に、色鉛筆やマーカーなどで一つずつ直接絵を描いています。 生き物の美しさや、遺跡や出土物の魅力を知ってもらえるキッカケになると嬉しいです。