作家さんに会いに行ってきたよ!第7回「maani」

革と彩りの作家

さーて今月の作家さんに会いに行ってきたよ!は、革作家の「maani」さんです。革を彩ったアクセサリーと小物を作られています。

最新作のアクセサリーその1©maani

ここ一年ほど、イベント出展(ハコイチも)をお休みされていましたが、先週「山口アーツアンドクラフツ」という大きなイベントにて復帰されたので、満を持して会いに行ってきました。ハコイチの作家さんたちもどうしてるかな~?って思ってる方が多いんじゃないかな。私もその一人!

待ち合わせ場所は、とあるキャンプ場。テラスにテーブルと椅子が準備されていて、「ビストロ松の樹」の美味しいお弁当を食べつつ、何時間もしゃべってしまいました。会いに行く楽しみの一つが、美味しいご飯です。今回はテイクアウトだったので、次回お店に食べに行こうっと。

テラスでお茶会

さて「maani」さんといえば思い浮かべるのは、あざやかな「彩り」。ヌメ革に直接彩色したさまざまな彩りが、必ず作品のメインやポイントに使われています。革の武骨さと色彩の豊かさの相反する雰囲気が大きな魅力です。

最新作のアクセサリーその2©maani

そんな「maani」さんのハコイチ初出展は2019年1月。ハコイチが初めてのイベント出展でした。初出展にハコイチを選んでくれる作家さんが多くて嬉しいです。手仕事のすごさを広く伝えるイベントになりたい、作家デビューのはじめの一歩に使ってほしい、と門戸を広く開いて開催していますので、すべての作家さんの出展を歓迎しています。

ハコイチ初出展のとき©maani

初出展の時のエピソードを聞くと、なんとその時私が居なかった、とのこと。そういえば初めて会った時の記憶がないような…。どうやら体調を崩して土曜日だけお休みしていたようです。滅多にないことなんですが、珍しい時に初出展でしたね。

アクセサリー中心のブース

初出展は妹ちゃんに一緒に出展してもらったそう。でも、ハコイチあるあるで周りの作家さんがみんな優しくて、初ですか?と声をかけてくれたり、お客さんにも初出展の作家さんですよと紹介してくれたり、緊張したもののとても楽しかったのだとか。

ハコイチを知ったきっかけはSNS。でも実はハコイチを知る前に、一つ印象的な出来事があったんです。立ち寄った東急ハンズの一角で、ふと目に留まった印象的なアクセサリー。それが「つばめ屋」さんの作品でした。その時「つばめ屋」さん本人は居ませんでしたが、作品がきらきらと光って目に飛び込んできました。そしてハコイチに下見に来た時、東急ハンズで出会ったアクセサリーだ!と気づきます。でも、緊張してその場では声をかけられず…。あの作家さんも出ているイベントなら、と帰った後、震える手でハコイチへの申し込みをしてくれたそうです。いろんな媒体でハコイチの魅力を伝えようとしていますが、やはり見に来ていただくのが一番伝わりますね。きっと毎月の開催日にこんな風にして新しい出会いが生まれているんでしょう。

ハコイチ中に縫い縫い

小さいころの「maani」さんは、布、陶芸、革、押し花…と手先の器用な祖母を見て育ち、工作ばかりする子どもでした。自分で作ったものを売る「お店屋さんごっこ」が大好き。ごっこに使うお金も自作して楽しんでいます。ほかにも自動販売機を作ってみたり、作れるものは何でもかんでも自分で作っていたそう。色のことを考えるのもこのころから大好きでした。自然な流れで中学生のころは、ファッションデザイナーやインテリアデザイナーになる!と思っていました。

好きな彩りを選べるきせかえキーケース

でも成長するにつれ、お兄さんが良い高校に進学し、自分も頑張らないけんのでは?と思い始めます。上に倣って進学校に進み、手堅い仕事に就きました。でも、働く中で「私じゃなくてもいい仕事」「頑張っても感謝されない」と段々と仕事へのやりがいを感じられなくなります。このまま人生終わるのか?と自問した時に、自分がやりたいことをやろうと決心。潔く退職。退路を断って、ものづくりの道へと進みます。幸いなことに、道具はたくさんありました。レジンやプラバンなどにも挑戦してみますが、今一つしっくりこなかったそう。

どの彩りが好きですか?

革にしたきっかけは、革のアクセサリーはあまりないこと、軽いし、味わいもあっていいのかも?と思ったから。そこから独学で作品を作る日々が始まります。その中で生まれた段ボールいっぱいの失敗作…今でも捨てられずに取ってあるんですって。

革のアクセサリーを試作して見たところ、なんだか物足りない…。色を付けたらどうだろう?が「maani」さんの彩りの始まりです。自分のカラーを出したい、人と違うところを出したい、らしさを出したいという思いが彩りというカタチになりました。

そうそう「maani」ってどんな意味があるんでしょう?愛着の湧く屋号にしたい、と自分自身の名前(ma)と妹の名前(a)愛犬の名前(ni)を合わせたのが一つ。それとお気に入りの映画「しあわせのパン」に出てくるカフェの名前が「maani」っていうんですって。かわいい響きで覚えやすくて、素敵な屋号です。

渋めの彩りも好きです

作家としてやっていくには、作品を作って売らなければなりません。自分用じゃなくて趣味でもなくて、最初から売る気でものづくりを始めた、と「maani」さん。そんな決意がある作家「maani」のデビューは、妹の後輩がアパートの一室で始めた小さな雑貨屋さんでの委託販売でした。そして広く知ってもらおうと作品をSNSにアップしたところ、デパートからお誘いが来てとんとん拍子に委託することになったのだとか。なので最初のうちはイベントでの対面販売ではなく、委託販売メインで行こう、と考えていました。そして作家歴一年ほど経ち、殻を破りたい、新しいことを始めたい、との思いでハコイチに出展を決めたんだそう。

リングやブローチもあります

初出展のハコイチでは、思っていたよりも売れたそうです。終了するころには次の申し込みをしてくれました。ハコイチはお客さんも周りの作家さんも優しく、緊張はしたけれど楽しむことが出来ました、と教えてくれました。初出展からほぼ毎月出展してくれたので、初出展が2019年というのが意外に感じたほど。もっと以前からの長いお付き合いだった気がしていました。

最近の作品©maani

ハコイチはホームで、ベース。アットホームで本当に楽しい。そう言ってくれる「maani」さん。じゃあハコイチに出たい理由って何?って聞いてみたんです。そしたら、バイバイしてからもずっと考えてくれたみたいで、長文メッセージが届きました。

「この間聞かれた「ハコイチに出展したくなる理由」をずっと考えてたんですけど……きっとモチベーションが上がるからだと思います!

作家さんがみんないきいきしてて、作品への思いとか今後の展開についてとか、刺激になる話がたっぷり聞けるのはハコイチだけだと思います!
毎回ハコイチ終わった後はやる気に満ち溢れてました✧

作家はモチベーション上げることが大事だから、ハコイチに出ることはある意味たくさん売り上げることよりも価値があるような気もします^^
改めてハコイチは作家さんにとって大切な場所なんだと思います!」

そんな風に思ってもらえてるんだ…めっちゃ嬉しい…月に一度、定期的に開催することを第一に、12年続けてきた甲斐があります。そういえば通販メインで売り上げている作家さんも、イベントに出ないとモチベーションが上がらない、イベントがあるからそれまでに作らなきゃってなって作る、と言ってたのを思い出しました。オンライン全盛の時代ですが、リアルなイベントもまだまだ必要とされているんだと実感できました。

オーダーした彩り名刺ケース

でもでも、楽しいだけではだめなんです。私が目指している作れる人が偉い世の中にするためには、作ってご飯が食べられないといけません。ぶっちゃけで売り上げについて聞いてみたところ、ハコイチは作品けっこう売れますよ、とのこと。ハコイチに出て売れなかった日は一日だけありました。でも、オーダーはありました。大きなイベントは来場者も多いのでたくさん売れるけれど、ツキイチで開催されているハコイチは毎月積み重なっていくので、売り上げは大きいんです。とのこと。ハコイチの売りの一つはツキイチの定期開催であることだと思っていましたので、納得感がありました。

在庫を入れている箱

イベントはネットよりもお客さんの声が直です。「高っ」と言われたことも何回もあるそうです。でも、作家としてやっていくと決めた以上、ある程度値段をつけなければいけません。値段を下げたら売れるというものでもありませんよね…。ハコイチに出展する中でいろいろ考え、アップデートし、手に取りやすい価格のアイテムも登場しました。ワンコインの革のしおりです。モノを売るうえで、ゼロをイチにするのが難しい中、最初の一歩を踏み出しやすくしました。買う側の心理的にも、ありがたいです。大好きな作家さんの作品をまず一つ、手に入れられるから。

最近のトピックは雑誌「リンネル」に、「彩りフリルのポーチ」が掲載されたこと!

彩りフリルのポーチ©maani

こだわった自信作だったのでとても嬉しかったそうです。紹介されると、認められたと感じますよね。私も掲載の報告を見たときは、我が事のようにテンションが上がりました。

基本的には物を作るのが大好きという「maani」さん。インスピレーションは雑誌から得ることが多く、このポーチを作るにはどうやったらいいのか、と構造を悩みだすと、起きてから寝る間際までずーっと考えているんだとか。作るのって本当に面倒だけれど、出来上がったときには全部吹き飛ぶんです!きっと作家さんはみんなそうだね。

「maani」さんは、物を作ることが本当に好きなんだな、とおしゃべりの間中感じていました。好きなことを語っている人を見るのが好きな私。だって目がキラキラしているもんね。自分はこれが好き!っていうものがないのが悩みでしたが、人が好きなものを人と一緒に楽しめる、そんな人も必要なのかな、と思うようになりました。好きなことを好きなようにする人たちと一緒に、次のハコイチを作っていきたいと思っています。ハコイチこれからの10年をお楽しみに!「maani」さん、会ってくれてありがとうございました!そろそろハコイチにも出展しますね、とのこと、そちらもどうぞお楽しみに!

そうそう、久しぶりに会ったので作品を見たい、買いたい!とわがままを言いまして、野良「maani」ちゃんを開店してもらいました。

イベント終わりの在庫をそのまま見せてもらいました

久しぶりのリアル「maani」作品を見ることができてテンションが上がりました!リンネル掲載の彩りフリルのポーチ、ベル型キーケース…Instagramで見て気になっていた作品が一堂に!あれもこれも欲しくなるけれど、厳選してお買い上げしました。やったー。取材に行ったのですが、私がご褒美をもらうばかりで、ほんと、ありがとうございます。

手前のものが、最新の彩り

新作でトラベラーズノート用のカバーが登場していました。開くと真ん中にゴムがあり、そこに好きなリフィルをはさんで、中身を自分好みにカスタマイズできるノートだそう。これからスケジュール帳も作ろうかな~と言ってましたので、手帳派の皆さん楽しみにお待ちください。

Pick Up この記事で紹介した作家

maani

彩り豊かな革アクセサリー、革小物をお持ちします。

ハコイチHP内 作家個別ページ

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