作家さんに会いに行ってきたよ!第3回「M井」

作品は、作り手を映してる。

今日は最近アトリエを持った「М井」さんに会いに行ってきました。「作家さんに会いに行ってきたよ!第3回М井」です。

アトリエにて製作中

気が付けば長い付き合いとなっていたことに話していて気が付いた「М井」さん。初出展は2014年3月のハコイチでした。下の子の産休育休で1月と2月をお休みした後のハコイチで、ハコビル一階を特別会場として使った回でした。忘れていましたが、ハコビル一階はかつて会場だったことがあるみたいです(笑)

記憶になかったんですが、証拠の写真がありました。

冷泉荘のあおぞら市でハコイチのフライヤーを見てくれて、13年12月のハコイチに遊びにきて、すいどうがほぼ臨月のお腹ぽんぽんで主催してるので、このイベントやべえ…じゃなくてすごい…と思ってくれたらしいです。

初出展申し込み時の応募写真

作って人にあげてたけれど販売はしてなかった頃。ハコイチは出展料安めで、初心者にやさしいイベントです…その通り。ですが、自分の作った作品を人前に出て販売する、という行為はなかなか勇気がいることです。友達に誘われてハコイチに来て、自分の目で様子を見て、「強制的に人と話さないといけない雰囲気じゃなかった」「コミュ障でも居れそうな雰囲気だった」と思ったんだって。ハンドメイド=おしゃべり好きな人というイメージは、ある気がする…。私も元来人見知りなので、その気持ちわかるぞ~!でも乗り越えないといけないときってのがある。出展申し込みフォームを3回も書き直して、最後はえいっ!とハードルを越えました。えらい!

最初の出展時、並んでいた作品は「なぞの物体」「ネコ用のぼうし」「ワイヤーアクセ」でした。今の「М井」さんを知る方からすれば、え?くちびるは?目は?って思いますよね。そうなんです、まだ、くちびるも目もデビューしていないんです。

これがなぞの物体とワイヤーアート

デビュー時は折しもハンドメイドブーム。来場者も、出展者も多かったです。「М井」さんのところにも身内が来てくれて買ってくれたけど、多くの人には素通りされたブース。自分が未熟なのは自覚していたが、つらたん…。でも、一年間毎月出るぞと決めていたので、一年出展し続けました!今まで決めたことを守れない自分に勝つために。勝てたね!

その結果、知り合いが増えて、満を持して14年のハロウィン時にくちびるがデビュー。目だったかもしれない。

ついにヴェールを脱いだくちびるちゃんと目!

それからは大きいイベントにも出たりと活動の幅を広げます。でも、ハコイチはベース(基本のところ)だって。イベント被りしない限りはハコイチ、って。嬉しいです。

ハコイチに慣れてきたころ、12月なので福袋があります

さて、ここから「М井」さん自身のことにフォーカスしていきます。学生時代は、ビジュアルデザインを専攻。親に行けと言われて通った専門学校ですが、この時に学んだテクニックは今も名刺づくりなどに役立っているそう。

この頃は親や周りが求める自分にならないと、と諦めていました。でも、そんな自分を打ち壊す!とため込んだもやもやを燃料に爆発します。

「М井」さんの作品は「フェチ」そのものです。自身の性癖を詰め込んだ理想のくちびるを具現化したい、好みのくちびるに実際にさわりたい!!

好みのくちびるはどれですか?

自分の容姿に対してコンプレックスがある。醜形恐怖症ともいうそうですが、他人にはわからない自分だけのどろどろとした感情が「人体改造フェチ」に繋がりました。コルセットピアスに憧れたりひたすらメイク動画を見たり…。自分にはしないの?と聞くと、「自分でやっても自分で見れないからやらない」。と、確かに、ばっちりメイクしても自分には見えませんもんね。他人のためじゃなくて自分のためにやるわけですから。実際にさわりたいから平面より立体が好み、ってのは納得です。

最近の、目

コンプレックスとフェチのにこごりが、「М井」さんの作品なんだな、って私の中でまとまりました。だから「М井」さんのくちびるや目には魅力があるし、引き込まれる。人間の醜い部分って見たくないけど見ちゃうんだ~んでその醜い部分がその人らしさだったりするんだよな~。なにせ、包み隠さず自分のフェチを全開に押し出す姿勢、かっちょいいです。

人体パーツが好きなんです

「作りたいだけしかない」

思いつきが作品作りのはじまり。アイデアが出たら作るという姿勢だから、オーダーも受けない。「#日常に違和感を」というハッシュタグも、自由に好きなことをする!がまだ出来ていない今の自分に納得していないから。叫び続けることで、自分を鼓舞しているんだって。そういう負けず嫌いなところも、応援したくなる。

近頃は展示会にも出られている「М井」さん。作家としての「М井」さんしか見たことがないのだけれども、アーティストな「М井」さんが作ってる作品もなかなかのものです。

企画展「月」に出した作品©М井

ハンドメイド作品にはフェチを、アート作品には日常の中で感じた違和感を込めているんだって。

森の美術館in海の中道にて©М井

今は目の前にあるものをこなしていくターン。イベントのお誘いが来て、面白そうならやって…と、やりたいことをやっているわけだけれど「まだ自由じゃない」。まだ周りに左右されている、影響を受けていると感じているそう。じゃあ「М井」さんの思う自由ってなに?と聞くと「多様性を許容すること」。なるほど、一生懸命もがいている「М井」さん、おもしろいです、そっと見守ります。きっともっとでっかいマザーになれる。「М井」の「М」はマザーの「М」だからね!

そうそう、12月のフライヤーは「М井」さんに描いてもらいました。クリスマスと年末年始のわくわくとプレゼントやギフトっぽさの比較的ハッピーなごった煮です。伝わりますね?今までにない感じで、お気に入りです。

21年12月のフライヤー

酸いも甘いも、苦みもしょっぱみも、全部まとめて飲み込んで、燃料にして生み出されている「М井」さんの作品。みんなに分かってもらえなくても、分かってくれる人がいればハッピー。「М井」さんとたくさん話してその心をちょっぴり覗くことができた気がします。作品がまた違った魅力をもって見えるから、あら不思議。今後の爆発にも期待なんですよ。そしてその爆発、予定が決まってます。「М井」個展やるってよ!

アトリエの看板

М井初個展「М井の頭の中のナカ」は、来年の1月21日(金)~23日(日)にハコ町屋で開催。こちらもどうぞお楽しみに!

Pick Up この記事で紹介した作家

M井

首から猫を生やした優しい人です

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