ハンドメイド作家向けインボイス制度解説

難しい言葉はぜんぶ抜きにしてざっくり解説しました、税理士監修済み

ハコイチに出展してくれてるハンドメイド作家さん向けに、まずは3行でインボイス制度を説明します。

1.イベント出店のみで販売先が個人のみの作家さんはインボイス制度関係なし、この記事を読まないで良し。(ただし、インボイスの登録をしなければ、領収書や請求書に消費税を連想させる言葉を記載できないよ)

2.百貨店、専門店など法人相手にも商売している作家さんは、インボイスを発行できないと取引停止の可能性があるので、一度取引停止の影響を試算してみて、登録するかどうか判断しましょう。

3.でもインボイス制度に加入してインボイスを発行するには、すべての売り上げに対して消費税を納めないといけなくなるよ!

ざっくりいうとこんな感じですね。

ハコイチに出展している作家さんのほとんどは、個人か、個人事業主だと思います。んで、消費税は納めていない人が大半でしょう。現在、年間1,000万を超える課税売り上げがある事業者以外は、消費税を納税していません。ちなみに合同会社ハコイチもそうです。令和5年3月現在消費税率は10%(食品に限っては8%もあるけど)なので、たとえば年間300万円の売り上げがあったら30万円の消費税を納税しないといけない計算です。消費税の申告と納付は大変面倒です。しかも帳簿もつけないといけません。

そもそも作品に消費税を乗せていない…という作家さんも多いかもですね。出店料タイプのイベントのみに出展していて、個人相手に販売していれば今後も何の問題もありません。

さて、イベント以外で百貨店や専門店で出店、販売されてる作家さんにとってインボイス制度の大事なところはここかと思います。作品の売り上げがいったん百貨店に入ってマージン分が差し引かれて売り上げが振り込まれるときです。

消費税には仕入税額控除という仕組みがありましてね。売上時の消費税額から支払った分の消費税額は引いていいよ、って制度です。例えば5000円の作品が売れたとき、百貨店はお客さんから5500円の商品代金を受け取ります。500円が消費税です。控除がないと500円を消費税として納めないといけないのですが、ここで仕入税額控除が発動します。マージン3割で契約していた場合、百貨店としては5000円分の売上です。残り3500円は作家からの仕入れ代。仕入れにかかった税金は払わなくていいよ、が仕入税額控除が適用されるってことなので、売り上げから仕入れ代を引いた、1500円に対する150円しか消費税は払わなくていいよ、ってことです。

百貨店的には今までは仕入れ先(作家)が払ってるんで~で問題なしでした。なのに急に、その作家ほんまに消費税払っとるんか?確認するで?となりました。さあ大変です。百貨店が国税に仕入税額控除を認めてもらうには、きっちりしたインボイス(請求書)が必要になるのです。きっちりしたインボイスには、仕入れ先の作家さんのインボイス登録番号が載ってないといけないのです。

消費税をどっちが払うかって問題なので、スーパー作家さんだったら百貨店が消費税を代わりに払うので、取引してくださいって可能性もありますが、まあそういうパターンは少ないと思います。人の分の税金とか払いたくないので、作家さんのところにインボイス登録しましたか~?インボイス登録番号教えてください。という内容のメール等が来てるんじゃないかと思います。

じゃあ、どうする?インボイス登録する?登録自体は、「インボイス・登録」とかって検索すれば、割とすぐできます。国は、3月末までに登録しないと(インボイス制度が始まる)10月からインボイス発行できないよん、と脅していましたが、なんかいろいろうまくいってないみたいで登録期間が9月30日に延長されました。だからまだ時間に余裕はあるから、ゆっくり考えてください。ただきっちりしたインボイスを発行するには、消費税納税というけっこう大変な義務を負うことになります。

百貨店等での売り上げが年間売上額のかなりの割合を占めている場合は、消費税納税の義務を負ってでも、インボイスに登録しましょう。大したことないなって場合は、登録しないのも手です。取引を断られることがあると思いますが、国の制度変更には大きな会社は逆らえません。仕方ないです。あきらめましょう。売り上げは大したことはないけれど、百貨店への出展が集客の柱になっている…とか、作家さんごとの事情もあると思います。でも登録して消費税納税するか、登録せず消費税は払わなくていいけど百貨店との取引をあきらめるか、どっちか選ばないといけないんだよね…ほんとめんどくさいことしてくれるよね…。

この記事を監修してくれた税理士さん

税理士 稲石英人(毛むくじゃらのすがた)

稲石税理士事務所の税理士さん。

イラストを描いてくれた人

じゃぽにぱいちば

くまの似顔絵屋さん、毛むくじゃらにしてくれる。イラストレーター。

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じゃぽにぱいちば

リハビリ出店です。どうぞよろしくお願い致します。

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